「フライアウト型の投手はホームランが怖い」——この野球の常識を数字で表したのが**HR/9(被本塁打率)**だ。
HR/9の計算式
HR/9 = 被本塁打数 × 9 ÷ 投球回数
100イニング投げて15本塁打を打たれた投手なら:
HR/9 = 15 × 9 ÷ 100 = 1.35
HR/9の目安(MLB基準)
| HR/9 | 評価 |
|---|---|
| 0.7未満 | 優秀。本塁打を極めて打たれにくい |
| 0.7〜0.9 | 良い。平均以下の被本塁打率 |
| 1.0〜1.2 | 平均的なMLB先発投手 |
| 1.3〜1.5 | やや多め。球場・フライ率に注意 |
| 1.6以上 | 本塁打リスクが高い。ゴロ系への転換を要検討 |
本塁打が「他の被打者」より深刻な理由
野球では、ランナーなしで打たれた単打は即失点にならないことが多い。しかし本塁打は必ず得点(自責点)に結びつく。
- シングルヒット打たれた → 得点につながるかは次の打者次第
- 本塁打打たれた → 確実に1点以上失う(ランナーがいれば2〜4点)
FIPの計算式がHR(被本塁打)を最も重視する理由がここにある。
HR/9 とフライボール革命
2010年代後半のMLBで「フライボール革命」が起きた。打者側は「フライボールを打つと長打・本塁打になりやすい」と意識的にアッパースイングに変え、長打率が大幅に上昇。その結果、リーグ全体の被本塁打数が急増した。
この時期、ゴロを打たせる投手(ゴロアウト率が高い投手)のHR/9が有利になり、逆にフライアウト型の投手は多くの本塁打を許すようになった。
xFIPでの活用
xFIP(Extended FIP)は、FIPの計算にある「被本塁打」部分を「リーグ平均の本塁打率×フライアウト数」で置き換えた指標だ。
xFIP = FIPベース計算式(被HR → フライ数×リーグ平均HR/FB率で代替)
これにより「今年は特別に本塁打を打たれすぎ(または少なすぎ)」という運の要素を平準化できる。HR/9が一時的に悪化している投手でも、xFIPが良ければ「本塁打を打たれたのは運が悪かった」と判断できる。
HR/9は小さな数字の変化が大きな失点差につながる、見落とせない投手評価指標だ。